2002年「爆産」詳細記録

1)産卵用セット(その1 準備編)   2002.8.27

準備したもの
1)マット
 ●新品クヌギマット
(くぬぎ純太くん) 
 ●3令幼虫使用済みのクヌギマット
(元はハイパーくぬぎフレーク)
 ●園芸用黒土
(石灰や肥料が混ざっていないもの)
2)その他の用品
 ●小枝 ●枯葉 ●昆虫ゼリー
(安いものと、産卵促進用と銘打っているものを併用)
 ●皿木 ●産卵木の割りカス

プラケは、上の2種類。ごく一般的な中プラケ(左)と、たまたまホームセンターで見つけて購入してあった、中プラケサイズで、高さだけ1.5倍ほどあるプラケース(右・以下、中深プラケ)の2つです。
中プラケの方に♀2頭、中深プラケの方に♀1頭を入れることにしました。

      • 中深プラケを使った理由……釧路近郊産のミヤマということで、以前「寒い地方のミヤマは深く潜る」という話をどこかのサイトで目にしたことを思い出しました。中深のプラケであれば、それだけマットを多く(深く)することが出来、本来の自然環境に少しでも近い状態にできるのではないか、と考えたのです。2つのプラケの併用で、どちらが多く産卵するかも比較できるかもしれないとも考えました。(そのくせ、中プラケには2頭投入してしまったのですが。。まさか、全部がこんなに生むとは思わなかったので。。。)

前年の産卵セットは、ほぼ黒土のみのマットに産卵木を埋め込みましたが、埋め込んだ産卵木に幼虫がたどり着いた形跡がなかったので、今年は幼虫のエサとしてクヌギマットをまぜることにしました。また、割りカスは、市販のクヌギ産卵材を半日加水して表皮をはがし、あえて割って使用しました。(長さ8〜10cm、幅3〜4cm、厚さ1〜2cm程度)これは、♀がマットに潜る際の足がかりとして、埋め込むというより「差し込む」ようにして使用することにしました。
破片が小さいのは、万一幼虫が食い込んでも材を割らなくてもひと目でわかるように、という意味もあります。(何せ割り出し経験がないビギナーなので、幼虫を傷つけることを恐れたのです。)

黒土に混ぜ込むクヌギマットには、前年孵化の3令幼虫のマット交換の際にでた使い古しのものを混ぜました(新品:使い古し=9:1くらい)。それほど意味はないかもしれませんが、「幼虫のにおいがすると♀が安心する」とか「3令幼虫の排泄物の中にある体内細菌が、初令幼虫の雑菌に対する免疫づくりに役立つ」などと書かれている書物があったので、まあ害にはならないだろうとおまじない程度の感覚でした。

※割カスを使用するにあたっては、COVAさんのサイト「VIVA!Kuwagata!!」を参考にしています。

2)産卵用セット(その2 セット編)   2002.8.27
1)産卵用プラケを軽く水洗いする。

2)クヌギマットを加水する。
別に用意したプラケース(バケツでも何でもよい)に用意したクヌギマットを入れ、水を同量以上注ぎ込みます。当然マットはドロドロの状態になります。これをそのまま使用します。

3)産卵用プラケにマットを詰める。
まず、黒土を、キリフキで加湿しながら深さ3cmほど敷き詰めます。黒土の水分量は『手で土を握って、ボソッとした団子ができるくらい』という“植木の土の状態”。その上に、先程の泥状のクヌギマットを250cc程入れます(クヌギマットはある程度固まった範囲に入れる。黒土の上に層をつくるのではない。)
次に、また黒土マットを加湿しながら深さ5cmほど入れます。。。これを3〜4回繰り返し、プラケの高さの2/3位までマットを詰めます。最後の5cmほどは黒土のみの層とし、最後に、表面にマーブル状にクヌギマットを撒きます。

4)産卵木の割カスをセット。
割カスを7〜8本用意します。2〜3本を上層の黒土部分に完全に埋め込み、3〜4本をマットの表面から斜めに差し込みます(完全に埋まるまで差し込む)。

5)地表を木片などで覆う。
ミヤマクワガタは転倒しやすいので、四隅を中心に転倒防止と、起きあがるためのあしがかりとして皿木などを2〜3個配置します。そのほかにも、枯葉や、産卵木の表皮、残った割カスなどでマットの表面の7割以上を覆ってしまいます。クワガタを入れ、ゼリーを配置し(皿木を利用してもしなくてもよい)、保湿を兼ねて市販の「コバエ防止シート」をプラケとフタの間にはさみました。

6)加湿について。
キリフキによる加湿を1日1回行いました。5)でマット表面を覆ったことと、キリフキによる加湿で、プラケ内は常時わりと湿度が高めになっています。

●以上のセットを中プラケと長尺プラケで作りました。中プラケには♀2頭、長尺プラケには1頭を入れました。なお、長尺プラケにはフタだけではなくプラケ側面の上端にも風通し用のスリットがあるので、乾燥&コバエ防止のため、コバエ防止シートをセロハンテープでとめてスリットを覆いました。

●プラケは、陽の当たらない場所に保管し、特に夜には完全に暗闇の状態にしました。既に夏も終わりに近かったのと、冷夏だったので、室温は最高でも20〜25度、夜は15度以下になっていたと思います。


            • セットした状態の中プラケ。
              中央と右下にマットの見えるスペースがありますが、撮影後、割カスを2〜3本追加してさらにマット面を減らしました。♀1頭は枯葉の中に潜っています。
3)♀が★ちているのを発見(中プラケの1頭)   2002.9.14
中プラケの2頭は比較的最初からこのプラケになじんでいて、セット直後はプラケ内を徘徊していましたが、数日後には積極的に潜る時間が長くなりました。時々食事に出てくる以外は、枯葉の下か地下にいるので、個体差がないこの2頭は見分けが付かず、まるで1頭がいつもゼリーの所にいるようにみえたほど(^^)。後に1頭の前脚のフ節がとれたので、見分けが付くようになりましたが。。
姿を見かける割合がしだいに多くなっていったある日、プラケをチェックすると、1頭が皿木の下で★になっていました。




  • 皿木をどかした状態。右下方に★ちた♀。もう1頭は潜っている。

  • 4)♀が★ちているのを発見(中プラケ・中深プラケの各1頭)   2002.9.23
     プラケ内の♀のチェックは、厳密に毎日行っていたわけではありません。ゼリー交換とキリフキ時には、♀が潜っている場合もあるので。というわけで、残りの2頭が★ちているのを発見したのは、同じ日でしたが、実際には1〜2日のずれはあったと思います。両方とも皿木の下で★になっていました。
     これで、3頭とも★になってしまったわけですが、中プラケの2頭の★には、半月の開きがあります。とりあえずプラケを暴くのは10月中旬ということにしました。
      • 中プラケ・中深プラケとも、側面・底面から見ても卵は目では確認できません。(もっとも、KwAは実物の卵を見たことがまだないので、見落としの可能性もありますが(^_^;)。産卵の手応えはというと....どうもいまひとつわかりません。2頭を一緒にした中プラケは、その分可能性が高いのか?もしくは逆効果で(お互いに落ち着かなくて)ダメなのか。。。。中深プラケの1頭は、♀の割に気性が荒くて攻撃的なので1頭にしたのですが、その分元気ではありましたが、プラケ内のレイアウトのせいなのかマット表面や皿木の上を徘徊している姿を多く見かけたので、これもうまく産んでくれたのか...来月になってみないと分かりません。





    中深プラケの♀(皿木等をどかした状態)。

    とりあえずここで、KwAの2002年ミヤマ産卵セットのポイントをまとめておきます。
    • 前年は♀のコンディションも悪く、結果(3頭孵化)だけで判断はできませんが、より良いと思える方法に変更しました。とは言っても初心者であり、技術的にはこの道の諸先輩にかなうべくもないのですが、自分なりの方法論で産卵用プラケをセットするため、多くの情報は参考するにしても、とりあえずいったん頭の中をリセットしました。そして、以下のような事柄をランダムに考え、実行しました。題して「クワガタの気持ちになって考えてみよう!」です(^^;;。

    ●産卵材の埋め込みは我が家では効果がなさそうだ。それより、少しでもマットの容量を(深く広く)増やし、♀が自分の好きなように潜れるようにした方がよい。→中深プラケの採用。

    ●どうせそのうちマットは乾き目になってしまうのだから、
    最初は思い切って湿度を高くしよう。→泥状にしたクヌギマットの混入(※これは、泥埋めとかいう方法のひとつらしいです。知りませんでした(^^;;。)

    ●とにかく潜らせなくては話にならない。地表を色々なモノ(朽ち木・枯葉・皿木・割カス)で覆ってしまった方が、なんとなく♀は地表にいると落ち着かないのでモノの下に入り、結果、潜る気になるのではないか?また、転倒した時起きあがるというより、転倒自体を防いだ方が体力消耗を防止できるのでは?保湿効果も期待できる。

    ●マットに
    産卵材の割カスを埋め込むことで、♀が潜るさいの体力消耗を防げるらしい。また、よくマット表面が崩れてせっかくの坑道がなくなってしまうことがあるが、割カスが土留めになるのでは?幼虫の餌としても利用されるかもしれない(← COVAさんのサイト参照)。

    ※注)これらを忠実に実行しても、産卵が促進されるかどうかはわかりません。前提要素として
    1)気候がミヤマ向きの北海道であること。2)セットしたメスが、3頭ともとても元気だったこと。があります。この2つの要素が非常に大きいと思います(もしかしたら、この2つがすべてかも。。。)

     

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