樹脂封入標本への道(ほぼ自己流)。

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1)まずは準備から。


 標本用のクワガタ、密封型のタッパ容器(100均)、エタノール。この3つは必須です。
 樹脂封入するので、完成後の防虫については心配してないのですが、事前にどのように消毒すればいいのかよく分かりません。クワ仲間にリサーチし、エタノールでよいだろうということで薬局でビン消毒用に買っておいたものを転用。タッパ容器は、エタノール節約のため小さめのものを購入。
 標本目的にクワガタをシメるのは本意でないので、飼育中綺麗に★になったものを地味にストックしていました。符節が1本くらいとれたものでも、メモリアル個体ならKwA的にはOK。
 何体かは★時に(最初の死後硬直のあと、1昼夜ほど経過して体が柔らかくなった時に)まず適当に形を整えていますが、脚を縮こめたままのものや、泥がこびりついているものもいます。
 
ダニ付着個体は★時に殺虫剤等でいちおう処理し、大型個体は保管の間、ダニ忌避剤の入ったプリンカップに入れておきました。
 この段階で破損しやすいのは、やはり触覚ですね。2頭が片方ずつとれてしまいました。

水に漬け、洗う。


 人肌程度のぬるい水で、(脚が硬直している個体は)固さをほぐしながら、地味に洗っていきますが、あまりキレイにしようとして部品が取れるのを恐れ、あまり丁寧には洗っていません。部品はあとで接着することもできますが、あまりバラバラになるとしんどいし、接着で不自然になるのもイヤなので。9割程度のキレイさを目標にしました。
 爪楊枝、ピンセット、綿棒、歯ブラシなど、お好みで用意するといいと思います。
 
エタノールで消毒・保管。


 クワガタをならべ、エタノールを、ひたひたになる程度に容器に注ぎました。フタで密封し、このまま1週間〜10日ほど、棚の奥に保管。

1週間後、展足。


 やはり100均容器だからか、密封したつもりでもけっこうエタノールが揮発していました。クワガタの体液でエタノールが変色している容器もありました。
 わりと自己流展足。好きなポーズでよいと思いますが、まだ初めてなので、いちおう左右対称のセオリーっぽい形にしました。自己流とはいえ、やはりピンは使いますね。写真左のアルキデスヒラタで40本くらい。100均で購入したキルティングピン(まち針)です。40本100円。土台は発泡スチロール。大アゴを乗せる枕(頭部が下向きにならないよう)をポーズに合わせてスチロールで切り出し、木工ボンドで土台に接着しています。
 個体によっては、この時に頭部がはずれてしまう時があるので、これも木工ボンドで接着。とれていた部品も接着。細かい作業は、プラモデルの要領でした。

 プラ容器や紙の箱など、ふたつきのケースに並べ、タンス用防虫剤を入れて保管。乾燥させます。

試行錯誤の素……標本製作・樹脂封入に関する情報あれこれ。
   乾燥させている間に、情報収集をして、このあとの作業に備えました。
   (後工程の作業を行っている最中に入手した情報も含んでいます。)
   
(※あくまでKwAが収拾した情報の範囲なので、誤りがあるかもしれません)
【標本個体に関して】
●どのくらい乾燥させればいいのか?
大型(80ミリ程度)のクワガタならば、まず1ヶ月乾燥させれば充分、ということです。

●脱脂と整形(乾燥作業前後に標本個体の処理に使用する液体、それぞれに特徴があるようです。)
水(ぬるま湯等)……
  固くなった個体に水分を補うことで、関節部分等を柔らかくし、形を整えやすくする。
エタノール……
  個体の消毒と、軽い脱脂(油ぬき)ができる。
  ※液体に標本個体を漬けておくと、透明だった液体が徐々に茶色く変色してきます。これが、個体の油分です。
酢酸エチル……
  個体の消毒と、軽い脱脂(油ぬき)ができる。
  ※100%アルコールではなく、水分を含んでいるため、標本個体の関節などが固くなり過ぎるのを緩和し、
   展足時に個体がバラバラになるおそれが少ない(らしい、のかもしれない。未確認)
スチレン溶液……
  標本を強力に脱脂することができる(ただし、取扱注意。危険物質らしい。。。)
脱脂(油ぬき)……
  
樹脂封入の際、樹脂と個体の間に空気の膜ができたり、個体が樹脂から剥離したりという失敗がおきます。
  これは、個体に油分があるため、樹脂とぴったりくっつく(親和する)ことが出来ない時に起こります。
  樹脂との親和性を高めるために行うのが、脱脂です。

【樹脂に関して】
●封入時に、個体の湿気はどの程度問題になるのか?
アクリル樹脂に封入する場合は、個体が水分を含んでいると、樹脂が化学反応をおこして失敗する(泡だつようにブクブクに樹脂が変形して固形化してしまう)ということです。エポキシ系樹脂の場合は、水分を含んでいても一応問題はなさそう。ただし、KwAが思うに、固体と樹脂が密着(親和)するとは思えないので、やはり完全に乾燥させた方がよいみたいです。

●樹脂の特徴
アクリル樹脂……
  
水分に注意が必要。透明度が高い。研磨しにくい。劣化しにくい。変色しにくい。
エポキシ樹脂……
  アクリルほど水分に厳密ではない。高透明度のものでもやや黄色みがかる。
  
空気中の水分による劣化で黄色〜茶褐色に変色する。
 
(対策として、樹脂にうすく青色をつけておき、変色を目立たなくする方法が有効らしい。ラッカー系塗料で彩色するらしい。)
  
研磨しやすい。値段が手頃。


上に書いたいくつかの事柄をふまえ、いきなり大量の樹脂を購入して失敗するリスクを犯さないために、
割高にはなりますが、1000円程度で少量のエポキシ樹脂を購入しました。
(この時点では、まだ脱脂の知識はなかったのですが。)
購入した樹脂で、テスト的に封入してみました。次は、そのレポートを。

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